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アッシュール=バニパル王

前7世紀中ごろのアッシリア帝国全盛期の王。オリエントを統一支配し、ニネヴェに王立図書館を建設した。

アッシリア帝国のオリエント統一

ライオン狩りをするアッシュール=バニパル王。
ライオン狩りをする
アッシュール=バニパル王。
 アッシリア帝国の全盛期の王。前668年に即位、在位は627年まで。アッシュール=バニパル王は、ティクラトピクセル3世、サルゴン2世、センナケリブなど先代の諸王が続けた領土拡大を継承し、前663年にテーベを占領してエジプトを征服し、初めてメソポタミアからエジプトに及ぶオリエント全域を統一的に支配した。さらに前639年頃にはエラム王国を滅ぼし、その支配を東方のイランにまで及ぼした。
 しかし前627年頃のその死後、アッシリア帝国では王位継承の争いとともに地方勢力が自立して分裂状態となり、前612年に滅亡する。
ニネヴェの王立図書館 広大なオリエント世界を統一的に支配するために、各地の情報を首都ニネヴェに収集した。その楔形文字の文書群が19世紀に発見され、「ニネヴェの王立図書館」と言われている。その文書の研究から古代メソポタミアの文明の内容が明かとなったので、その研究を「アッシリア学」という。ニネヴェの粘土板にはアッシュール=バニパル王の自叙伝も残されており、大英博物館で見ることが出来る。

Episode 王のライオン狩り

 アッシュール=バニパル王はライオン狩りのレリーフで有名であるが、ということはこの時代は西アジアでもライオンが生息していたということである。しかし、シュメールの時代からライオン狩りは行われていたようで、アッシリア時代にはすでに頭数が少なくなり、アッシュールバニパル王の頃は王の狩猟のためにライオンが飼育されていたという。また王のライオン狩りもスポーツではなく、王が執行する宗教儀式であり、殺されたライオンは祭壇でまつられていた。<『世界の歴史』1 「大帝国の滅亡」渡辺和子 p.363 中央公論社による>
 図は、アッシュール=バニパル王のライオン狩りを描いたレリーフと言われているもの。戦車の上から、槍でライオンを射殺そうとしている。