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マヤ文字

マヤ文明で用いられていた文字。完全な解読には至っていない。

マヤ文字
マヤ文字
 マヤ文明では絵文字が使用されたことがわかっているが、その大部分は、スペイン人宣教師によって異教のものとして焼かれて失われてしまった。現在残っている資料は、世界に三点しかない。それでも現在その解読が進んでいる。マヤの絵文字は人物や動物をかたどった具象的なもので、暦と関係が深いことが特徴であり、表意文字としてだけでなく表音文字としても使われたと考えられている。マヤの暦法と文字については、<石田英一郎『マヤ文明』1967 中公新書 p.99-120>に詳しく解説されている。 

マヤの絵文字は果たして表音文字か?

 16世紀の宣教師ディエゴ=デ=ランダはマヤ文字を採取しそのアルファベット表をその著『ユカタン事物記』に残した。実はランダ自身は、マヤ文字の資料を異教の有害な文書であるとしてその多くを焼却してしまった張本人。そのため残されたマヤ絵文字の一次資料は、世界にドレスデン、マドリード、パリの3ヶ所に残された三点しかない。それでも19世紀以来、言語学者、文字学者が解読に取り組み、一時は表音文字であるとの説が有力になった。しかし同じ絵が同一の発音で読まれるという証明はできず、20世紀には表音文字説は否定され、表意文字であるとされた。最近ではコンピュータによる分析、解読の試みも行われているが、その結果、表意と表音が混在して用いられているとの説が有力となった。しかし完全な読み方はまだ明らかになっていない。<石田英一郎『マヤ文明』1967 中公新書 p.99-120> 
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書籍案内
石田英一郎
『マヤ文明』
1967 中公新書

八杉佳穂
『マヤ文字を解く』
中公文庫BIBLO 2003