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進士科・進士

唐の科挙で科目の一つ。詩文の作成能力を問う。進士はその合格者。宋代に科挙の唯一の受験科目となる。

 しんしか。科挙の科目名であると共にその合格者。唐代には秀才科明経科などと並ぶ科目の一つで、詩文の作成能力を問う科目であったが、次第に中心的科目となり、合格者である進士が官僚としての栄達を約束されるエリートとされた。
 進士科が優位となった理由は、明経科は経書の丸暗記が中心であったのに対し、進士科は経書の暗記試験と詩と賦という二種類の韻文作成が課題とされ、「オールラウンドの士君子の教養」の優劣をきそった点でその合格者が単なる技能のみならず人格的にも優れていると考えられたからである。
 進士科の優位は宋代にさらに明確となり、王安石の改革の際についに進士科は科挙の唯一の科目とされ、その内容も詩文と散文の二本立てではなく、散文のみとなる。<村上哲見『科挙の話』講談社学術文庫 p.62 など> → 唐詩

宋代の進士科

 王安石の改革の一環として行われた科挙の改革で、それまでの明経科などの諸科が廃止され、進士科に統一された。また進士科の試験では従来課せられていた詩文の作成試験はなくなり、経義(経書の解釈)・論策(時事問題の小論文)が課せられることとなった。詩作のような文学的な才能より、官僚に必要な能力を重視したためであろう。

進士は科挙合格者を意味するようになる

 宋代には科挙の試験科目が進士科に一本化されたことから、その最終試験である殿試に合格した官吏候補生を進士というようになった。
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