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アズハル学院

ファーティマ朝のカイロに972年に建設されたマドラサ。現在までイスラーム神学・法学の最高権威として現在も大学として存続している。

アズハル学院

カイロのアズハル=モスク
トリップアドバイザー提供

 エジプトのファーティマ朝時代にカイロに建設されたアズハル=モスクの附属のマドラサ(学院)。まず970年にモスクが建てられ、2年後の972年にマドラサが設置された。イスラーム神学・法学の研究のために建てられたもので、イスラーム圏各地から学生が集まり、出身地別に宿坊をもうけ、質素な生活をしながら研究を続けたという。「アズハル」とは花が咲き乱れている様子を指す最上級の語であるが、それはファーティマがその女性形(ザフラー)という名を持っていたことにちなんでいる。<小杉泰『イスラーム帝国とジハード』2016 講談社学術文庫 p.265>

現在のアズハル大学

 ファーティマ朝時代はシーア派の教理の研究が行われたが、エジプトではシーア派は定着せず、マムルーク朝以降はアズハル学院はスンナ派神学の正統性を明らかにすることに重点が置かれた。現在は、「アズハル最高評議会」「イスラーム研究アカデミー」「アズハル大学」など5機関から構成され、最高評議会議長がアズハル大導師といわれてエジプト内の6000以上の宗教機関を監督している。エジプト革命後のナセル大統領が権力をもっていた1961年にはエジプト政府の管轄下におかれ、大導師は大統領から任命される。また教授、学生の中にはイスラーム原理主義の団体が組織されている。<藤原和彦『イスラーム過激原理主義』中公新書 2001 p.152 などによる>

Episode 世界最古の大学

 アズハル学院(大学)は、起源がファーティマ朝時代の972年にさかのぼるので、イタリアのボローニャ大学(1119年創建)よりも古く、「世界最古の大学」と言うことが出来る。そしてアズハル学院は現在も続いており、カイロのアズハル大学は現在でもイスラーム法学の最高の権威のある大学とされている。 → 中世ヨーロッパの大学
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書籍案内

藤原和彦
『イスラーム過激原理主義』
中公新書 2001