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予定説

人間の救済はあらかじめ定められているというカルヴァンの宗教信条。そこから人間は神から与えられた現世の仕事に努力することが求められたことが西ヨーロッパの資本主義社会の理念的背景となったと考えられている。

 宗教改革におけるカルヴァンの思想は、より徹底した聖書中心主義であり、神は絶対的な権威をもち、人間の原罪はキリストの福音によってのみ救われるというものであった。その神による救済は「予(あらかじ)め定められている」であり、それを定めるのは絶対の権限を持つ神だけである、したがって「人間はすべて平等に創られてはいない。永遠の生命にあずかるもの、永遠の劫罰に喘ぐのも、すべて前もって定められている」とした。
 そのような人間がどのようにして神への絶対的服従を示すことができるかというと、現世の天職を与えられたものとして務めることでしかできない、と説いた。このようなカルヴァン派の信仰は西ヨーロッパの商工業者(中産階級)に支持されていった。
 20世紀のドイツの社会学者マックス=ウェーバーは、西ヨーロッパの商工業者の中から、近代社会を出現させる資本主義が生まれてきたと分析し、その理念となったのがカルヴァンの予定説であると指摘した。 → 『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』
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