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公民権法

1960年代のアメリカ黒人の公民権運動が盛り上がり、ケネディ大統領が政策として進め、その暗殺後、ジョンソン大統領の時の1964年に制定された総合的な黒人差別を無くす立法措置。とくに選挙権登録での読み書きテストを禁止して選挙権制限をなくし、平等な人権を保障した。

 公民権法(Civil Right Act)は、黒人差別に対してキング牧師らによって1950年代から進められた公民権運動の高まりを受け、1964年7月2日、アメリカ議会で成立、制定された法律。ケネディ大統領によって取り組まれ、その暗殺後、後任のジョンソン大統領の時に成立した。主として黒人の公民権を幅広く認めた法律で、その内容は次の通り。
  1. 黒人選挙権の保障。選挙の際の「読み書き能力テスト」の禁止など投票権行使における人種差別を排除。(この黒人選挙権の保障は、翌年に制定された1965年投票権法によって強化された。)
  2. 人種、肌の色、宗教、あるいは出身国を理由に、公共施設及びホテル、レストラン、映画館などの施設で差別もしくは隔離されてはならず、すべての人が財、サーヴィス、設備、特典、利益、便宜を「完全かつ平等」に享受する権利を有すること。
  3. 公教育における人種差別を排除するため、合衆国教育局がその実情について調査し、人種共学の実施について専門的援助を行なうこと、また司法長官は適切な救済措置をとること。
  4. 広く雇用における人種差別廃止をおし進めるために、平等雇用機会委員会を設置し、また裁判所にたいし適当な「差別是正措置」(アファーマティヴ・アクション Affirmative Action)を講じるよう命じている。
 この公民権法の成立は、黒人の差別反対闘争の大きな収穫と言えるが、これで問題が解決されたわけではなかった。南部の黒人の差別は依然として根強く、また北部においても特に大都市において貧富の格差が拡大し、現状に不満な黒人の中には、非暴力抵抗をすてて実力で白人に対抗しようと言うブラックパワー運動が1960年代後半から台頭してくる。
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