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サルトル

フランスの哲学者、作家、批評家。実存主義の代表的思想家として活躍。

 2005年は、サルトル生誕100年にあたっていた。その哲学の主著は『存在と無』、『弁証法的理性批判』などで、ヘーゲルの弁証法、フッサールの現象学を批判的に継承して、物的存在を即自、意識の存在を対自と把握し、存在を他人との関係における対他存在という観点でとらえた。
 その思想は実存主義の代表的な理論とされ、「存在は本質に先立つ」という有名な句に要約される。さらにその思想を進めて、自己は自由な主体として一切に責任を負い、自己の客体性を引き受けなければならないという「アンガージュマン」(社会への主体的な参加)という主張となる。
 サルトルは哲学者であると同時に、ナチス支配下のフランスでのレジスタンス運動への参加、戦後のマルクス主義への接近と原水爆禁止運動への積極的な発言など、行動する思想家であった。また文学では『嘔吐』、評論では『自由への道』など、一時夫婦であったシモーヌ=ド=ボーヴォワール(『第二の性』などの著作がある)とともに、第二次世界大戦後の実存主義流行の中心人物となり、日本でも人気がたかかった。
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