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第1章 オリエントと地中海世界

第1節 古代オリエント世界

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ア.オリエント世界の風土と人びと 用語リストへ
・a オリエント :ヨーロッパから見てb 「日ののぼるところ」 を意味する。
  →今日ではc 「中東」 とよばれることが多い。

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解説
・西アジアの風土:高温の乾燥地帯 → 砂漠、草原、岩山が広がる。
   → 周辺の山岳の降雨地域を源流とする河川とオアシスの周辺は土地が豊か。
  ・砂漠でのラクダ、草原での羊などを飼育する遊牧生活。
  ・河川流域やオアシスにおけるムギ、豆類、オリーブ、ナツメヤシなどの農業。
 農耕・牧畜 の開始   前7000年紀
 メソポタミアから地中海東岸(レヴァント地方)にかけての▲「a 肥沃な三日月地帯 」で始まる。
   ▲主な遺跡 b イェリコ 遺跡、c ジャルモ 遺跡など。(序章参照)
 潅漑農業 の開始 前6000年紀の中頃 大河の流域で始まる。
 a メソポタミア のb ティグリス川 ・c ユーフラテス川 流域
   =d 「川のあいだの地方」 の意味
 e エジプト のf ナイル川 流域 → いずれも定期的な増水が起きる。
  → 治水、灌漑などの技術が生まれる → 大規模な定住が進む。
・大河の流域に文明が形成された理由
  河川の定期的な増水が潅漑農業を発達させ、そのために大規模な定住が進んで都市が形成され、生産力も高まって交易が広がり、金属や文字の使用が始まって文明を成立さることとなった。 
 文明の形成  前3000年ごろ、メソポタミアとエジプトの大河流域に都市文明が成立。
・活動した民族
  メソポタミア :周辺からa セム系 やb インド=ヨーロッパ語系 の民族が移住し、興亡した。
  エジプト :砂漠と海に囲まれ外部からの移住は少なく、c ハム系 民族が長期に文明を維持した。
  シリア・パレスチナ :d セム系 民族が交易活動に従事し、文明を拡散させた。
・オリエント社会の特色 治水・灌漑の必要から、宗教的な権威による統治が行われた。
  =e 神権政治   :王が神として統治し、社会・文化も信仰生活中心に営まれた。

オリエントの諸地域

オリエント地域図

・重要河川 a ティグリス川   b ユーフラテス川   c ナイル川 
・地域名 1 メソポタミア   2 バビロニア   3 アッシリア   4 シリア   5 パレスティナ 
     6 アナトリア   7 小アジア   8 エジプト   9 イラン高原 
・緑色の部分 10 肥沃な三日月地帯 

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Text p.26

イ.シュメール人の都市国家 用語リストへ
 メソポタミア文明   両川下流域で潅漑農業が発達。
・前3500年頃から人口増加  → 神殿を中心に大村落が成立。
  → a 文字 とb 金属器 (銅とc 青銅器 )の普及。
・前3000年頃 神官・戦士・職人・商人などの階層の形成。
  → d 都市 が成立。 = 文明の形成。
 シユメール人 
 民族系統は不明。(右図のような特徴ある風貌が知られている。)
・前2700年頃までにメソポタミア地方南部にa 都市国家 を建設。
 主な例 a ウル 、b ウルク ラガシュなど。
・都市文明
 社会:<王→神官・戦士→自由民→奴隷>からなるd 階級社会 が成立。
 政治:神の名において行われる政治や戦争=e 神権政治 →都市国家の抗争
 文化:壮大な神殿・宮殿・王墓の建造。f ジッグラト (聖塔)の建設。
    g 楔形文字 の発明。粘土板に記された。
    = h シュメール文化 の繁栄。 ウルの軍旗などの製作。
ウル軍旗の一部

B シユメール人  

補足:ウルの軍旗

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ウ.メソポタミアの統一と小アジア 用語リストへ
 アッカド の征服 前2350年ごろメソポタミア中部に起こったa セム系 民族。
・▲b サルゴン王  「四界の王」を称し、メソポタミアを征服。
  → 都市国家を統一して広大なc 領域国家 を作った。
 ▲前2150年ごろ滅亡し、シュメール人が独立を回復 = ウル第3王朝
  シュメール人、シュメール法典を制定(現在、世界最古の法典とされている)。
解説
 アムル人 の支配 前1900年ごろ西北から侵入したa セム系 民族。
・b バビロン第1王朝(古バビロニア王国) を建設。都c バビロン 
 前18世紀ごろ d ハンムラビ王 :メソポタミア全土を支配し、全盛期となる。
  → 運河・道路網の建設、治水・灌漑工事を進め、法典※を整備。

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 ※e ハンムラビ法典 の制定
  特徴:・王は神の代理者として統治する。
     ・f 「目には目を、歯には歯を」 というg 復讐法 の規定がある。
     ・身分別の刑罰の適用など。
  → オリエント世界の他の民族にも広がり、旧約聖書にも影響を及ぼす。
解説
 民族移動   前2000年~前1500年頃に起こった牧畜民、遊牧民の大移動。
・a インド=ヨーロッパ語族 が南ロシア方面から西アジアに進出、各地に国家建設。
 b ヒッタイト :前17世紀 c 鉄器 を使用し小アジア(アナトリア)に王国建設。
   → 首都(ハットゥシャ)の遺跡はボアズキョイで発見された。
   メソポタミアに進出して、前1595年、d バビロン第1王朝 を滅ぼす。
   → シリアに進出し、ミタンニ王国 エジプト新王国(ラメセス2世→後出)とも争う。
   → 前1200年頃、e 海の民 の攻撃を受けて滅亡。
 f カッシート :南メソポタミアに進出、ヒッタイトに代わりバビロニアを支配。
   → バビロン第三王朝という。 → 前12世紀にエラム人に滅ぼされる。
 g ミタンニ :北メソポタミアからシリアにかけて王国を建設。
   → 前15世紀にアッシリア人を服属させる。住民の多くはフルリ人
 ▲エラム人:g イラン高原 の南西部で活動。民族系統は不明。
解説
前15~14世紀 エジプト新王国も含めて、オリエント世界の混乱続く。
★メソポタミアの文化の特徴
1.a 多神教 の宗教:民族ごとに最高神をまつる。 例:バビロンの主神マルドゥク神
 ・b ジッグラト (聖塔)の建設。都市国家の主神をまつる。
2.c 楔形文字 :シュメール人が創造。オリエントの各民族は言語が
  異なっても公用文字として前1世紀まで使用した。
   → ペルシア帝国で象形文字から表音文字に変化。19世紀に解読。
3.文学の起源 ▲d ギルガメシュ叙事詩 
  楔形文字で書かれた古代バビロニアの英雄を主人公にした世界最古の物語。
  「天地創造」や「ノアの洪水」などの『旧約聖書』の原型となった。
4.実用の学問:
 ・法典の制定 e シュメール法典 をもとにf ハンムラビ法典 に発展。
楔形文字粘土板

 楔形文字 の例

 ・占星術が基本となり天文・暦法・数学などに発達。後世に大きな影響を残す。
 ・シュメール人がg 六十進法 を発明。時間、角度の記数法となる。

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 ・暦法ではh 太陰暦 が使用され、▲1週7日制が行われる。
  → バビロニアでは実際には閏年が設けられ、▲太陰太陽暦が実施された。

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エ.エジブトの統一国家 用語リストへ
 エジプト文明 の形成 エジプト人=a ハム系 民族。
・b ナイル川 の定期的増水によって肥沃な土地を形成。
  → ”c ナイルのたまもの "(ギリシアの歴史家d ヘロドトス の言葉)と言われる。
 e ノモス の形成 潅漑農業の開始に件い形成された村落をもとにした小国家。
  → 統一国家成立後は行政区画の州を意味するようになる。
  ▲ナイル川下流のf 下エジプト 、上流のg 上エジプト に統合される。
 古王国 
・前3000年頃、王(a ファラオ )による統一国家成立。(メソポタミアより早かった)
  → その後一時的な周辺民族の侵入、外国の支配を受けながら、約30の王朝が交替。
・前27~22世紀 第3~第6王朝 都b メンフィス (下エジプト) 
  ファラオのc 神権政治 :潅漑水路を統制し農民に貢納と無償労働を強制、専制政治を行う。
  → クフ王ら、巨大なd ピラミッド ギザに建造。(守護神がスフィンクス)
 中王国 
 前22~18世紀 第11~12王朝 都a テーベ (上エジプト) 
・前18世紀末、シリアから遊牧民b ヒクソス の侵入。その支配をうける。
  → 第15、16王朝を立て、エジプト全土を支配。最初の異民族王朝。
 新王国 
・前16世紀半ば、ヒクソスを撃退、都a テーベ  アモン神崇拝が行われる。
 第18王朝 ▲b トトメス3世  シリアに進出し、ミタンニ王国と争う。
  → さらにナイル上流(ヌビア地方)のクシュ王国を従え、領土最大となる。
・前14世紀半ば c アメンホテプ4世 の改革 =d アマルナ革命 という。
  e テル=エル=アマルナ に遷都。
  = f イクナートン と改名し、唯一神g アトン 神への信仰の強制した。
  → h アマルナ美術 が生まれる。王妃ネフュルティティの肖像など。
  → 次の▲i ツタンカーメン 王※はアモン=ラー崇拝を復活させる。
 ※1922年「王家の谷」の未盗掘墳墓から黄金のマスクをつけた遺体が発見された。
ネフェルティティ像

ネフェルティティの肖像

・アマルナ革命の意味
  テーベの神官が信奉するアメン=ラーを中心とした多神教を否定して、唯一神アトン神信仰を強要することにより古い勢力を押さえ専制支配を行おうとした。しかし、保守勢力の反発で王の死と共に改革は終わり失敗した。  
E 新王国の復興
・前13世紀 ▲a ラメセス2世 ※ 新王国を復興させ、再びシリアに進出。
  前1286年ごろ、ヒッタイト王国と▲b カデシュの戦い を戦い、講和条約を結ぶ。
  → ▲テーベにアモン神をまつるカルナック神殿、アブシンベル神殿などを造る。
補足:世界最古の国際条約・水没から救われた神殿
前12世紀 c 海の民 の侵入を受ける。 → オリエントの大変動の開始

オリエント世界 前16世紀~前12世紀(各国の大まかな領域を示しています)

オリエント 前16~12世紀
 ヒッタイト   B カッシート   C ミタンニ   D エジプト新王国   E エラム   F アッシリア 
 ボアズキョイ   2 バビロン   3 テーベ   4 テル=エル=アマルナ   5 スサ 
 アッシュール   7 カデシュの戦い 
補足: 新王国以降のの古代エジプト
★エジプト文明の特徴
1.a 太陽神ラー を最高神とする多神教

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 → 新王国時代には首都テーべの神アメン神の信仰と結びつきアメン=ラー信仰となる
   前14世紀半ば、イクナートンの時に、アトン神を奉じる一神教が興る。
2.霊魂不滅と死後の世界(b オシリス神 が支配する)を信じc ミイラ を造り、
  d 「死者の書」 を墓に副葬する。1922年発掘のツタンカーメン王の王墓が有名。
3.文字の使用:絵文字から象形文字に発展、さらに簡素化される。
 e 神聖文字(ヒエログリフ) = 碑文、墓室・石棺に刻まれた象形文字。
 ▲f 神官文字(ヒエラティック) = 神聖文字を簡略化した宗教文書に
  使用した文字。
 g 民用文字(デモティック) =神官文字をさらに簡略化し、民衆が用い、
  紙(h パピルス )に記録された文字。 Papyrus → Paper
4.実用的学問の発達:灌漑農業に必要な測地術から天文学・i 幾何学 
  などが発達し、暦法ではj 太陽暦 が用いられる。
   → ローマ時代のユリウス暦のもとになる。
★エジプト象形文字の解読
 1799年 ナポレオンがエジプト遠征した時にアレクサンドリア近郊で
  a ロゼッタ=ストーン を発見。
 1822年、フランスのb シャンポリオン が解読。現在は大英博物館蔵。
  上段に神聖文字、中段に民用文字、下段にギリシア文字で書かれている。
ロゼッタストーン

 ロゼッタ=ストーン  

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オ・東地中海世界 用語リストへ
・地中海東岸のa シリア 、b パレスティナ 地方 = エジプトとメソポタミア間の交易路、
 および地中海への出入口として、海陸交通の要地として発展。
A 東地中海世界の新しい動き
・前1500年頃 セム語系のa カナーン人 の活動。パレスチナにる。
  → はじめてb 表音文字 を使用。
・前13世紀 c 海の民  =エーゲ海方面から西アジアに侵入した海洋民族(系統不明)。
  → d ヒッタイト は滅亡し、エジプト新王国の勢力は後退する。
  →▲その一派のd ペリシテ人 、パレスチナに鉄器文化を伝える。
・つづいて、セム系の3民族=アラム人、フェニキア人、ヘブライ人の活動開始。
 アラム人  前1200年頃 シリアのa ダマスクス を中心に内陸中継貿易に従事。

Text p.30

・b アラム語 ※は西アジアの国際商用語となる。c アラム文字 ※※は東方に伝播。
 ※文字と共に西アジアに広がり、アッシリア帝国・アケメネス朝ペルシアでも公用語とされる。
 ※※へブライ・アラビア・シリア・ソグド・突厥・ウイグル・モンゴル・満洲などの文字の起源となる。
 
 フェニキア人  前15世紀に地中海東岸のウガリットが栄える。→ 海の民によって滅ぼされる。
 前1200年頃 地中海東岸(現レバノン)にa シドン 、b ティルス など都市国家成立。
  c 地中海貿易 に活躍。さらに植民市を地中海沿岸に建設。
・北アフリカ(現チュニジア)にd カルタゴ (前810年ごろ)を建設。
   他に、イベリア半島にガデスバルセロナカルタヘナなどを建設。 
・表音文字からe 線状文字 を工夫※。 → 商業活動とともに西方に伝播
   → ギリシア人に伝えられf アルファベット の起源となる。
  ※エジプト文字から進化したシナイ文字の影響を受けているとの説がある。
 
 ヘブライ人  はじめ遊牧生活、前1500年頃、パレスチナに定住。
・民族宗教であるa ユダヤ教 という一神教信仰を発展させる。
 自らはb イスラエル人 と称し、後にc ユダヤ人 と言われるようになる。
★ユダヤ教の形成過程
 パレスチナ  に定住
・始祖アブラハムの指導の下、民族神a ヤハウェ の啓示を受け移住。
  12の部族が形成される。一部はエジプトに移住し新王国の支配を受ける。
 出エジブト  前13世紀 a モーゼ を指導者としてエジプトを脱出
 その途中、シナイ山で神から▲b 「十戒」 を授けられる。
  →ユダヤ教の律法の起源となる。
 へブライ王国   前11世紀末 パレスチナのa イェルサレム ※を都にし王国を建国。
・前1000年頃 b タヴィデ王  ペリシテ人を破り、王国を拡大。
 その子c ソロモン王 のとき最盛期となる。栄華を誇るも人民は重税に苦しむ。
解説:
・前922年頃 ソロモン王の死後、北のa イスラエル王国 と南のb ユダ王国 に分裂。
 イスラエル王国  (都はサマリア)
 バビロニアの影響で偶像崇拝が強まる → a 預言者 があらわれヤハウェ信仰を説くようになる。
・前722年 北方のb アッシリア (サルゴン2世)の侵攻を受け、滅ぼされる。
 ユダ王国  (都はイェルサレム)
・前586年a 新バビロニア の▲b ネブカドネザル王 に滅ぼされる。
 → c バビロン捕囚  多数のヘブライ人がバビロンに強制移住させられる。
  → このころから、d ユダヤ人 と言われるようになる。
  → このような民族的苦難の中から、民族宗教をさらに強固にする。
 ユダヤ教 の成立 
・前538年 a アケメネス朝ペルシア がバビロン占領。b 新バビロニア 滅亡。
   → ▲c キュロス2世 、ユダヤ人の帰国を許す。
  その支配下で信仰の自由を認められ、b イェルサレム に神殿再建。
★ユダヤ教の特徴
1.唯一絶対の神、創造主であるヤハウェのみを神とする a 一神教  
2.ヤハウェと契約を結んだユダヤ人だけが救われると言うb 選民思想 
3.メシア(救世主)による民族的苦難の救済を待望するc メシア思想 
4.神に示された律法を厳格に守ることを義務づける▲d 律法主義 
 = ゾロアスター教(イラン人の民族信仰)の影響。
★ユダヤ教の変質
パリサイ人による律法の重視 → 信仰の形式化 → ローマ帝国の支配を受ける中で
 イエス が登場、ユダヤ教の形式化を批判 →キリスト教の成立(後述)。
 旧約聖書 :神への讃歌・預言者のことばなどをまとめたユダヤ教の正典。
   ヘブライ語の原典が、ローマ時代にラテン語に翻訳され、キリスト教の正典とも成る。
 新約聖書 :イエスの教えをその弟子たちの手紙やことばで教えるキリスト教の教典。
   ギリシア語の口語であるコイネーによって書かれ、後にラテン語訳が作られる。
★まとめ セム系3民族の活動が、西アジアにもたらしたことの意味を考えよう。
d 
 これら広範囲な貿易の展開、文字の使用の広まり、普遍的な一神教信仰の発生がオリエント全体の統一的な支配権力の成立をもたらした。 

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オリエントの重要地名 遺跡と都市

オリエント重要地名、遺跡・都市

・農耕遺跡 a ジャルモ    b イェリコ 
・シュメール人の都市:c ウル    d ウルク    e ラガシュ 
・バビロニア:f バビロン    ・ヒッタイト:g ボアズキョイ 
・エジプト:h ギザ    i メンフィス    j テーベ    k テル=エル=アマルナ 
・セム系三民族:l ダマスクス    m シドン    n ティルス    o イェルサレム 
・アッシリア帝国 p ニネヴェ 
・ペルシア帝国 q ベヒストゥーン    r スサ    s ペルセポリス 

Text p.31

カ.古代オリエントの統一 用語リストへ
 アッシリア の登場 前2千年紀初め北メソポタミアに起こったセム系民族、
 小アジア・イラン高原(錫を独占)との交易に従事、前15世紀 a ミタンニ に服属。
・前8世紀 b 鉄製の武器と戦車 を用い有力となる。
 前8世紀末 ▲サルゴン2世がc イスラエル王国 を滅ぼしさらにアナトリア、バビロニアを平定。
 アッシリア帝国 の成立 前7世紀前半 エジプトを征服 オリエント全土を統一。
・前7世紀後半 a アッシュール=バニパル王  専制君主として支配。全盛期となる。
  帝国をいくつかの属州に分け、総督を派遣、駅伝制を設ける。
  首都b ニネヴェ に、王立の▲c 図書館 建設。捕虜・被征服民を帝国内に強制移住させる。
   意義:最初のd 世界帝国 としてオリエント全土を支配し、多数の民族を支配。
  文化:アッシュール神(国家神)の信仰。巨大な宮殿建築と動物意匠のレリーフなど。
  → 衰退:急激な中央集権化、苛酷な収奪、強大な専制権力に対し支配下の諸民族が反発。
・前612年 新バビロニア・メディア連合軍に滅ぼされる。
 4国分立時代 
・メソポタミア:a 新バビロニア王国(カルディア)  都バビロン カルデア人が建国。
  前6世紀前半 ▲b ネブカドネザル王 の時、全盛期となる。バベルの塔を建設。
  前586年 ユダ王国を滅ぼし、ヘブライ人多数をバビロンに連行=c バビロン捕囚 
・イラン高原:d メディア王国  都はエクバタナ(現在のイランのハマダーン)
   → その宗主権下でペルシア人が次第に有力になる。
・小アジア:e リディア王国  小アジア西部 都はサルデス
  商工業の発展 前7世紀に世界最初の▲f 金属貨幣 を鋳造したと言われている。
・エジブト:エジプト王国 ナイル上流のクシュ王国(黒人王国)・メロエ王国と交易。
 アケメネス朝ペルシア   ペルシア地方のイラン人=a インドーヨーロッバ語族 
・前6世紀中頃 メディア王国の支配を受けていたがアケメネス家の指導のもとで自立。
  ▲b キュロス2世 、メディア・リディア・新バビロニアを次々と征服。
  → 前538年、ヘブライ人(ユダヤ人)をc バビロン捕囚 からを解放。
・前525年 ▲カンビュセス2世 エジプトを征服し、オリエント全体を統一。
 ダレイオス1世  第3代 アケメネス朝の全盛期となる。
・前6世紀末から前5世紀はじめ 西はエーゲ海北岸から東はインダス川流域に及ぶ大帝国となる。
  首都:a ペルセポリス  実際上の行政の中心地:b スサ  中央集権的支配体制を整備。
 ・c サトラップ の任命 全国を20の州に分け、王の代理として任命。
    行政・治安・裁判をつかさどる。
 ・d 「王の目」「王の耳」 を中央から派遣。サトラップを監視する監督官。
 ・財政:帝国通貨として金貨・銀貨を鋳造。州ごとに納税額を定め、辺境諸民族に貢納義務を課す。
 ・商業:e フェニキア人 の貿易活動を保護する。
 ・交通網の整備:スサからサルデスにいたるf 「王の道」 を建設。駅伝制を整備。
 ・民族の自治:征服した民族に対し、その宗教・伝統を認める。
 → その後、200年間にわたり、オリエントを支配。

Text p.32

 ペルシア戦争  前5世紀初め ギリシア征服に失敗。(後出)
 前4世紀 各地の知事の反乱が続き、次第に衰退。
前330年 マケドニアのアレクサンドロス大王に征服され、滅亡する。

オリエント世界 ペルシア帝国(大まかな領域を示しています)

ペルシア帝国
 ペルセポリス   2 スサ   3 ニネヴェ   4 サルディス   5 エクバタナ 
 ベヒストゥーン   7 バビロン   8 ダマスクス   9 イェルサレム   10 テーベ 
★ペルシアの文化
 1. 楔形文字 の使用:表音化してペルシア文字を作る。
   → 公用語は、ペルシア語・エラム語・アッシリア語の三つが用いられた。
  ・解読 グローテフェント:ドイツ人 ペルセポリス出士の碑文の研究
      a ローリンソン :イギリス人、b べヒストゥーン碑文 を解読。
        (ダレイオス1世の業績を記した磨崖碑)
 2. ソロアスター教 の信仰 :前7~6世紀ごろa ゾロアスター が創始。
  光の神(善神)b アフラ=マズダ と闇の神(悪神)c アーリマン の闘争ととらえる。
   → d 最後の審判 を説く。 → ユダヤ教・キリスト教にも影響。 
  → 中国にも伝わりe 祅教 といわれる
  ・ミトラ神信仰:インド・イラン起源の神秘教団 → ローマ世界に広がる。
         光明神ミトラを信仰する密儀宗教。=f ミトラ教 となる。
 3.▲カナートの建設 地下水道による砂漠の灌漑施設。

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キ.パルティアとササン朝 用語リストへ
 ヘレニズム諸国   アレクサンドロスの帝国の解体後のギリシア系諸国家(次章で説明)
・イラン高原を支配したヘレニズム国家
 a セレウコス朝  (シリア) → 前63年、ローマに滅ぼされる。
 b バクトリア   前3世紀なかば、アム川上流(現アフガニスタン)に建国。
  → ガンダーラ地方からガンジス川流域まで進出、ヘレニズム文化を東方に伝えた。
 ・参考 ヘレニズムについては、第2節を学んでからもう一度こちらに戻ると良い。

Text p.33

 パルティア  前3世紀なかば、a 遊牧イラン人  の族長b アルサケス が建国。
 → セレウコス朝、バクトリア、クシャーナ朝(月氏)と対抗。都、一時ヘカトンピュロス
・前2世紀半ば メソポタミアを併合する。都c クテシフォン に移す。
  → d 東西貿易 路をおさえて、領内を通る物資に関税をかけて財源を確保し、繁栄。
 前1世紀なかば、東方に進出したローマのe クラッスス と争う。
  → 東方の中国の漢王朝とも交渉(中国の文献にf 「安息国」 として現れる)。
  → 次第にイラン人としての民族意識強まる。
 2世紀 ローマ帝国(最大の領土となったg トラヤヌス帝 の時)の軍に都を一時占領される。
  → 王位継承をめぐって対立がつづき、衰退する。
 ササン朝ペルシア  イラン東部のファールス地方にa 農耕イラン人 が台頭。
・226年 初代b アルデシール1世 が建国。都をc クテシフォン に定める。
  d ゾロアスター教 を国教とする。
 230年 メソポタミア全域に支配を及ぼす。さらにシリア、小アジアに進出、ローマと対峙する。
 シャープール1世  「イランと非イランの諸王の王」と称し世界帝国の建設を図る。
・260年 エデッサの戦いで勝利。
 a ローマ帝国 皇帝b ヴァレリアヌス を捕虜とする。(右図)
 東方ではインダス西岸に進出。c クシャーナ朝 の領土の大半を奪う。
・4~5世紀の動き
・363年 ▲ローマ皇帝ユリアヌス、クテシフォンを攻撃するも戦死。
 4世紀末~5世紀 a ビザンツ帝国 との抗争続く。
・5世紀後半、中央アジアの遊牧民b エフタル の侵入を受ける。
シャープール1世

D シャープール1世 (右)に跪いて
命乞いするb ヴァレリアヌス (左)
イラン、ナクシュ=ルスタム。

 ホスロー1世  在位531年~579年
・▲改革 中央集権体制を強化、税制を確立。灌漑用水を整備し、農業を保護。
    a ゾロアスター教 を保護、『アヴェスター』の編纂。(後出)
・▲学問の奨励 529年 ギリシアのアカデメイア閉鎖 → 多くの学者がササン朝の保護を受ける。
・557年ごろ トルコ系遊牧国家のb 突厥 と結びc エフタル を滅ぼす。
・561年 d ビザンツ帝国 のe スティニアヌス帝 と和平する。
・ホスロー2世(在位591~628年) イェルサレムやアレクサンドリアに出兵。
  → ローマとの抗争が再燃、次第に国力が衰える。
 アラブ人  の侵入
・7世紀なかば、アラブ人=a イスラーム教 勢力(正統カリフ時代)の侵入を受ける。
  → ▲ヤズデギルド3世、唐の太宗に遣使し、援軍を要請。
・642年 b ニハーヴァンドの戦い  に敗れ、ヤズデギルド3世、メルブに逃れ事実上滅亡。
・651年 ヤズデギルド3世、メルブで臣下に殺害されササン朝が完全に滅亡。
  → 意義:これによってc 古代オリエント世界が消滅した。 
・イラン、d イスラーム 化する。(第5章1節)

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ク.イラン文明の特徴 用語リストへ
 パルティア の文化
・当初はa ヘレニズム の影響が強かった。
  → 王は「ギリシア人を愛するもの」という称号をおび、公用語はギリシア語とされる。
・1世紀頃から、b イランの伝統文化 が復興する。
  → ギリシアの神々とイランの神々がともにまつられるようになる。
    アラム文字で書かれるペルシア語が公用語となる。
 ササン朝 の文化
・a ゾロアスター教 :アケメネス朝ペルシアにおこったイランの民族的宗教。
   → ササン朝ペルシアで国教とされ、教典「b アヴェスター 」が編纂される。

Text p.31

・c マニ教 :3世紀ごろd マニ が創始。a ゾロアスター教 に仏教、キリスト教を融和させる。
   → 偶像を否定。ササン朝では異端として禁止される。
 その伝播 北アフリカ カルタゴにいた教父e アウグスティヌス も一時、その影響を受ける。
      → 南フランスのキリスト教異端派(f アルビジョワ派 など)にも影響する。
      中央アジアから唐代の中国にも伝わりg 摩尼教 となる。(後出)
・h ネストリウス派キリスト教 :ササン朝を経て唐に伝わり、i 景教 と言われる。
・美術工芸:銀器・ガラス器・毛繊物・彩釉陶器など、工芸技術が発達。
 イラン文化の伝播  中東では、次のa イスラーム文化 に受け継がれる。
 → 西方:ビザンツ帝国 → 地中海世界へ伝播。
 → 東方:b 「絹の道」 を通り、南北朝・隋唐時代の中国を経て、日本にも影響を与える。
  飛鳥・奈良時代の文化:c 法隆寺 獅子狩文錦、d 正倉院 の収蔵物(漆胡瓶白瑠璃碗など)

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この節の小見出し
ア.オリエント世界の風土と人びと
イ.シュメール人の都市国家
ウ.メソポタミアの統一と小アジア
エ.エジプトの統一国家
オ.東地中海世界
カ.古代オリエントの統一
キ.パルティアとササン朝
ク.イラン文明の特徴

目 次

序章 先史の世界

1章 オリエントと地中海世界

2章 アジア・アメリカの文明

3章 東アジア世界

4章 内陸アジア世界

5章 イスラーム世界

6章 ヨーロッパ世界の形成

7章 諸地域世界の交流

8章 アジア諸地域の繁栄

9章 近代ヨーロッパの成立

10章 ヨーロッパ主権国家体制

11章 欧米近代社会の形成

12章 欧米国民国家の形成

13章 アジア諸地域の動揺

14章 帝国主義と民族運動

15章 二つの世界大戦

16章 冷戦と第三世界の自立

17章 現代の世界