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バーミヤン

アフガニスタンの仏教遺跡。ガンダーラ様式の仏教遺跡に巨大な石仏があったが、2001年、イスラーム原理主義のターリバーン政権によって破壊された。

バーミヤン GoogleMap

 バーミヤンはアフガニスタンの仏教遺跡。3~7世紀のクシャーナ朝時代のガンダーラ様式の系統にある岩肌を彫り抜いて巨大な仏像がかつて見られた。この地は唐の玄奘が訪れ、その著作『大唐西域記』に梵衍那国として記されている。仏教が中央アジアに伝播して栄えたことを示す貴重な遺跡であった。特に断崖に造られた高さ55mと38mの二基の磨崖仏は、その巨大さと天井の仏画などで広く知られていた。台地上には町があったが、13世紀の初めにモンゴル軍によって破壊された。

ターリバーンによる破壊

バーミヤン

石仏が破壊された後の石窟

 2001年3月2日~14日、アフガニスタンを制圧したイスラム原理主義集団ターリバーンは、バーミアンの石仏を砲撃して破壊した。世界的な文化財の破壊のニュースは国際的な衝撃を与え、ターリバーン政権に対する非難が沸き起こった。イスラーム原理主義の立場からは、偶像崇拝のシンボルで無価値なもと、害悪なものとされたのであった。
 → YouTube バーミヤン(Unesco-NHK映像)
 その後、2001年9月11日にニューヨーク国際貿易センタービルでの同時多発テロがおきると、アメリカはターリバーン政権がその犯人ビン=ラーディンを匿っているとして2001年10月7日空爆と陸上軍投入で攻撃、アフガニスタン戦争が始まった。アメリカ軍によってターリバーン政権は辺境に撤退、アメリカ軍の支援で新政府が樹立された。安定を取り戻したことでバーミアンの石仏の復活も期待されたが、その後もターリバーン勢力の抵抗は続き、事態は好転しなかった。

ターリバーン復権、危機再び

 2011年のアメリカ軍侵攻によって辺境に追いやられたターリバーン勢力であったが、しだいに力を回復し、2021年8月15日にアメリカ軍が首都カブールから撤退したことによって、政権を回復した。それによって、イスラーム原理主義の急進派が勢い付き、アフガニスタンの文化財や歴史遺産が破壊される恐れが再び高まっている。 → <朝日新聞デジタル 2021/11/4 記事 巨大炎に包まれたバーミヤンの大仏 拒めなかった爆破作業、心に穴>