ベドウィン
アラビア半島の砂漠地帯で遊牧生活を送る砂漠の民、アラビア語を話すアラブ人であるが強固な部族社会を形成した。イスラーム教を受容し、その勢力拡大の基盤となった。
アラビア半島に広がるアラビア砂漠の遊牧民アラブ人で、遊牧生活を送っている人々をいう。ベドウィンとは砂漠を意味するアラビア語のバドゥ badw がなまったもので、砂漠の民という意味。砂漠での過酷な生活を送っていたベドウィンが、アラビア半島の商業都市の商人であったムハンマドが興したイスラーム教を受容し、その基盤となった。
砂漠の民ベドウィン
アラビア半島の砂漠は、年間降水量わずか100ミリ、夏は日中の温度が摂氏50度にもなるという過酷な環境である。そのような中でらくだや山羊、羊を飼育する遊牧生活を送り、点在するオアシスではナツメヤシや小麦を栽培し定住する人々もいた。ベドウィンは定住民とは違い、砂漠の中で交易に従事していた。彼らは独立心にとみ、自由を好み、定住民を軽蔑していた。その生活は豊かではなかったので、時として定住民や他部族を襲い、略奪を行った。しかし、人を殺せば報復を受けるという厳しい掟があったので、むやみに人を殺すことはなかった。同族の成年男子は他から加えられた危害に対しては報復する義務を負い、その勇気を持つことが徳とされた。また過酷な風土の中で暮らすベドウィンは、客人や弱者を保護することも義務とされ、たとえ敵であっても三日間はそれを拒んではならないとされていた。<この項 中村廣治郎『イスラム教入門』岩波新書>