ムラート
ラテンアメリカでの白人と黒人の混血を言う。メスティーソ(白人とインディオの混血)とともに、クリオーリョ(新大陸生まれの白人)の下位に置かれた。
ラテンアメリカのカリブ海地域や、ブラジルなどの砂糖プランテーションではアフリカ黒人奴隷が大量に労働力としてもたらされた。その経過の中で生まれた白人男性と黒人女性の間の混血をムラートという。一つの人種的身分集団を構成し、社会の下層に置かれた。なお、先住民インディオと黒人の混血はサンボと言われた。 → クリオーリョ メスティーソ インディオ
ブラジルのムラート
ポルトガル領ブラジルの場合も、混血は容易にまた急速に進展していった。先住民は広大な領域に分散して部族ごとに生活していたが、ポルトガル人男性もまた先住民の女性と混交して、マメルコと呼ばれる混血児が出現した。他方、ブラジル北東部では砂糖産業の発達とともに労働力としてアフリカの黒人奴隷が大量に導入され、農園主と女奴隷との間に多くの混血児ムラートが誕生した。白人の農園主は数多くの黒人奴隷の女性と性的関係をもつのが普通で、ハーレムのような生活をしていた。植民地時代300年間を通じて数多くの黒人奴隷を受け入れたブラジルでは、1800年の人口の人種別比率は白人20%、混血30%、黒人50%であったと推定されている。<国本伊代編『概説ラテンアメリカ史』新評論 p.82>