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農業調整法/AAA

F=ローズヴェルトのニューディール政策の一環。AAA。農作目の生産削減による価格上昇を図った。

 アメリカ合衆国、フランクリン=ローズヴェルト大統領のニューディール政策の一つ。略称AAA = Agricultural Adjustment Act 1933年5月制定。世界恐慌以前からの農作物の過剰生産、価格低下による農民の困窮を救済するため、連邦政府が農民の生産削減に補助金を支払い、農産物価格を大戦前に戻すことを保証したもの。実際に農産物価格は上がりはじめ、3年以内に農業総収入は50%増加した。大規模農家は救済されたが、反面小作農には恩恵がなく、作付け面積が減らされたため路頭に迷う小作農も出た。

Episode ソヴィエトよりボリシェヴィキ的?

 AAAでは連邦政府(農務長官)に強大な権限を与え、「ソヴィエトに存在するいかなる法律や規則よりもボリシェヴィキ的だ」という反対も強かった。・・・・供給削減のためには、連邦政府の指導の下に過激な政策が断行された。1933年6月、農業調整局(AAA)は収穫直前の綿花の4分の1をすき倒すキャンペーンに出た。その夏農民は、1000万エーカーの綿花をすき倒して補助金を手に入れた。落ちこぼれた綿を拾って布団をつくれば法律に違反すると告げられた老黒人農夫は、「おめいさんがた、白人の旦那アちィと狂ってんじゃねェですかい」とつぶやいた。<林敏彦『大恐慌のアメリカ』1988  岩波新書 p.132-133>

Episode かわいそうな子豚

 豚肉価格維持のためのキャンペーンはさらに凄惨を極めた。政府は1933~34年の豚肉生産を16%減らすことを目標に、子豚と妊娠中の雌豚を市場価格より高く買い入れることにした。ただちに「かわいそうな子豚」が何百万頭も屠殺され、柵の隙間から逃げ出してキーキー泣き叫ぶ子豚とそれを追い回す人間とは「悪夢」の状況を呈した。豚肉加工業者は、伝統的方法に代えて効率のよい大量電気屠殺法を考え出した。・・・」<同 p.133>
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