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世界貿易機関/WTO

1995年1月、それまでのGATTに代わって発足した貿易に関する国際機関。2001年に中国、2012年にロシアが加盟し、大国のすべてが加入した。

 1995年、WTO=World Trade Organization は、それまでの関税と貿易に関する一般協定(GATT)にかわり、恒常的な機関として設置され、世界の貿易の円滑な運営と発展が図られることとなった。本部はジュネーヴにおかれている。GATTとは、・モノだけでなくサービス・知的財産なども対象とする、農業の自由化促進、環境や労働問題も扱う、などの違いがある。また「協定」から「機関」になったことによって貿易紛争に対する裁定を強制することができるようになった。
 WTOの設立は、1980年代以降のアメリカのレーガン、ブッシュ、クリントン政権に共通する、自由貿易の拡大という世界戦略に基づいていた。しかし、「自由貿易の拡大」の内実は巨大な多国籍企業の利益追求なのであり、そのようなグローバル化グローバリゼーション)によって途上国での無制限な開発がすすみ、環境破壊につながるのではないか、という大きな懸念が持ち上がった。1999年、シアトルで開催されたWTO閣僚会議は、環境保護団体のメンバーが押しかけ、実力で阻止された。WTOの推進や、地球温暖化防止のための京都議定書の批准拒否などのアメリカのグローバル化戦略には警戒の声が強まっている。

中国とロシアの加盟

 2001年12月には江沢民政権下で中国が加盟し、13億人の市場が自由化されることとなり、世界経済は大きな転換を迎えた。なお、ロシアは大国として唯一WTOに加盟していなかったが、2012年にようやく加盟した。現在の加盟国は160ヵ国(2014年7月現在)にのぼっており、非加盟国では北朝鮮以外はいずれもモナコやサンマリノ、太平洋上の島嶼国などになっている。
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