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ピラト/ポンティオ=ピラト/ピラトゥス

ユダヤを治めたローマ総督。30年頃、イエスを処刑した。

 ポンティオ=ピラト Pontior Pilatos は、キリスト教を創始したイエスを十字架にかけ、処刑したローマのユダヤ総督。ユダヤ王国はヘロデ王のときにローマを宗主国として服従した。前4年にヘロデ王が死んだあと、いくつかに分裂、ユダヤ、サマリアなどはヘロデ王の子のヘロデ=アンティパスが領主となり、ポンティオ=ピラトがローマの第5代総督としてイェルサレムで統治した。その期間は26年から36年という。

ローマ総督としてイエスを処刑

 ポンティオ=ピラトは銀の鷲とローマ皇帝の像を描いた旗をかかげて威圧したのでユダヤ民衆の強い反発を受けた。激高した民衆をたびたび虐殺するなど力による統治を行っていたが、そのような時期にユダヤ人のなか現れたのがイエスであった。30年ごろ、ユダヤ教の祭司長などからイエスの告発をうけたピラトは、イエスを尋問した。それを有罪とする理由はなかったが、ピラトは、祭司長らに煽動された民衆の要求に応えて、イエスを十字架にかける判決を下した。

参考 「十字架につけろ」と群衆は叫んだ

 新約聖書のマルコによる福音書第15章によれば、ユダヤ教の祭司長や長老、律法学者たちは、イエスを縛ってピラトの前に引き出した。
(引用)ピラトがイエスに、「お前がユダヤ人の王なのか」と尋問すると、イエスは「それは、あなたが言っていることです」と答えられた。そこで祭司長たちが、いろいろとイエスを訴えた。ピラトが再び尋問した。「何も答えないのか。彼らがあのようにお前を訴えているのに。」しかし、イエスが何もお答えにならなかったので、ピラトは不思議に思った。<『新約聖書』マルコによる福音書 第15章2-5>
 イエスが捕らえられたとき、暴動のときに人殺しをしたバラバという男がいた。祭りのたびに囚人の一人を釈放していたピラトは、民衆にどちらを釈放して欲しいか、と尋ねた。祭司長たちがイエスを引き渡したのは妬みのためだと判っていたからだった。しかし、祭司長たちはバラバを釈放するように民衆を煽動した。
(引用)そこで、ピラトは改めて、「それでは、ユダヤ人の王とお前たちが言っているあの者は、どうしてほしいのか」と言った。群衆はまた叫んだ。「十字架につけろ。」ピラトは言った。「いったいどんな悪事を働いたというのか。」群衆はますます激しく、「十字架につけろ」と叫び立てた。ピラトは群衆を満足させようと思って、バラバを釈放した。そして、イエスを鞭打ってから、十字架につけるために引き渡した。<同上、12-15>
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