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リグ=ヴェーダ

ヴェーダ(アーリヤ人の聖典)の中で最古のもの。アーリア人のインダス流域進出に伴って成立した。

 アーリヤ人の聖典である4ヴェーダの一つで、最も古いとされる聖典。リグは「賛歌」を、ヴェーダは「聖なる知識」を意味している。紀元前1200~1000年頃に編纂され、神々に捧げられた美しい賛歌をサンスクリットの古い言葉であるヴェーダ語で伝承されてきた。インドに侵入してきたころのアーリヤ人の社会を知る上での唯一の資料となっている。また、インド史ではヴェーダが作られていた時代はヴェーダ時代と言っているが、『リグ=ヴェーダ』で語られる前1500年~前1000年頃を前期ヴェーダ時代という。『リグ=ヴェーダ』を中心とするアーリヤ人の宗教は次第に宗教儀式を発達させ、ヴェーダを暗唱してその儀式を司る祭祀階級が成立し、彼らはバラモンといわれ身分の最上位に置かれるようになる。彼ら祭祀が司る宗教がバラモン教である。

参考 日本にも伝わったリグ=ヴェーダの神々

 リグ=ヴェーダに登場する神々には、ゾロアスター教の聖典『アヴェスター』の神々やギリシア・ローマ神話の神々と共通するものが多い。天神ディヤウスはギリシアのゼウス、天空と友愛の神ミトラはゾロアスター教の太陽神ミトラに相当する。またその神々は仏教に伴い、遠路わが国にも伝来している。軍神であり雷神であるインドラ神は仏教世界を守護する帝釈天、河神(女神)サラスヴァティーは弁財天、地獄(ナラカ、そこから奈落という日本語が生まれた)の支配者ヤマは閻魔大王、などなどとなって今でも民間信仰の対象になっている。<山崎元一『古代インドの文明と社会』中央公論社版世界の歴史3 p.54>
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