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上京竜泉府

渤海石灯籠

上京竜泉府に残る石灯籠

渤海国の都。東京城とも言う。長安に倣った都城が建設された。現在は遺跡となっているが、宮殿跡、多くの仏教寺院などが発掘されている。

 じょうけいりゅうせんふ。渤海には五つの都があったが、その中心とされ最も栄えたのが上京竜泉府であり、東京(とんきん)城といわれた。現在の中国黒竜江省寧安県にあるその遺跡は、1939年の発掘報告書によると唐の長安に倣った整然とした区画を持つ都城であったことがわかった。東京城は内城と外城に分けられ、内城には六個の宮殿跡が見られる。
 都城内には多くの仏教寺院があった。現在はほとんど遺跡となっているが、そのなかでひときわ目をひくのが、渤海時代の寺院跡に建てられた広隆寺というお寺の境内に残る、渤海時代に建てられた石灯籠で、高さ6mにも及ぶ。渤海における仏教の興隆を物語る遺物であろう。

Episode 渤海で発見された和同開珎

渤海の都上京竜泉府(東京城)遺跡の国王の居住空間であったと考えられている第5宮殿跡から日本の和同開珎が一枚、出土した。これは758年(天平宝字2年)に出発した遣渤海使小野朝臣田守がもたらしたものあろうと推定されている。『万葉集』には藤原仲麻呂邸で出発前に餞別の宴がもたれたことが記されている。小野田守はその年の秋、渤海使を伴って越前に帰り着いた。<藤井一二『和同開珎』中公新書 1991 p.58-62>
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