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岳飛

南宋の将軍。金との主戦論を主張し秦檜と対立した。

 がくひ。南宋の将軍で、主戦論を展開し、への抗戦を主張した。秦檜によって無実の罪を着せられ、獄死した。そこで岳飛を漢民族を救おうとした英雄であると評価する見方が出てきた。

Episode 中国の歴史教科書問題

 2002年、中国教育省直属の中国教育出版社が出した『高校歴史』とその『指導要領』のなかで、南宋に迫ってきた女真(現在の満州人)と戦った岳飛を「民族的英雄」と呼ぶべきでない、なぜなら中国は多民族国家であり、満洲人(満州族)は中国の少数民族なのであるから、彼らとの戦いは内戦にすぎないからである、とした。ところがこれに対して、インターネットを通じて全国から非難が殺到し、この教科書の編集者は岳飛の殺害を企んだ秦檜と同じであると罵倒された。批判者の発言はますます激しくなり、教育省は岳飛が漢族の民族的英雄であることを否定しないと弁明したことでようやく論争は収まった。多くの、若い世代が中国=漢民族国家と考え、あるいは勘違いしていることが、この論争を通じて端的に示された。<王柯『多民族国家 中国』岩波新書 2005 p.24-25>
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