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カーディリー教団

12世紀にバグダードで成立した、最初の神秘主義教団。15世紀にイスラーム世界に広がった。

 イスラーム教の世界で、12世紀頃から神秘主義(スーフィズム)の修行者であるスーフィーを聖者として崇拝する神秘主義教団(ターリカ)が各地に生まれたが、その最も早い例がこのカーディリー教団である。
 ジラーニー(アブド=アルカーディル=アルジラーニー 1077~1166)はイランのギーラーンに生まれ、バグダードで学んで法学者となったが、その厳格な修行をするする姿から聖者といわれるようになり、その説教は市民の人気を博した。彼を信奉する人々は、バグダードに修道場を設け、次第に教団を形成していった。そのような修道場は、本来は異教徒と戦う辺境の砦を意味していたリバートと呼ばれるようになった。1166年にジラーニーが亡くなると、バグダードの廟所を聖地として集まる信徒が神秘主義教団として活動するようになった。ジラーニーの子孫を長とするバグダードの教団本部を中心に、次第にイスラーム世界に広がり、15世紀以降には北アフリカ、西アフリカ、シリア、エジプト、トルコからインドに及ぶ大教団となった。しかしその立場は比較的穏健であったので、スンナ派の正統的ウラマーとのあいだで教義上で対立することは少なかった。<平凡社『イスラム事典』1982 などによる>

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