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1492

レコンキスタの完了、アメリカ大陸発見などがあった年。

 スペイン王国の歴史で、レコンキスタ完了の年であるとともに、コロンブスのアメリカ新大陸発見の年。いずれもスペイン関連で世界史上の重要年代。

四つの出来事

 1492年には、カトリック両王(イサベル1世とフェルディナンド5世)の新しいスペイン王国を象徴する四つの出来事が起こった。グラナダ王国の陥落、ユダヤ教徒追放、コロンブスのアメリカ到達、そしてネブリーハの『カスティリャ語文法』の出版である。
  • 1月2日、カトリック両王はグラナダに入城し、レコンキスタ(国土回復運動)に終止符を打った。これは異教徒の権力がイベリア半島から放逐されたことを意味したが、降服協定は寛大であり、イスラーム教徒には信仰の自由や独自の習慣の維持が保障されていた。
  • 3月31日、4ヶ月の猶予期間をもってユダヤ教徒にキリスト教への改宗か、国外退去を迫る王令が発せられた。これは一般に「ユダヤ人追放」とされるが、キリスト教への改宗者は優遇されているので、正確には「ユダヤ教徒追放令」である。最近の研究では、退去者の数は10万人を超えなかったとされ、追放の経済的影響はそれほどでもなかったとされる。しかし、これを契機に、異教徒の存在は許されないという風潮が強まり、1502年にはカスティリャ王国、26年にはアラゴン王国でイスラーム教徒に対する改宗勅令が出された。こうして「カトリック王国」という言葉が「スペイン王国」と同義に使われるようになり、異端審問制が宗教的国家統合の要となった。
  • 10月12日、コロンブスが現在のバハマ諸島のサンサルバドル島に到達した。スペイン王国はトルデシリャス条約でポルトガルと世界を二分して、新大陸に植民地を獲得していく。
  • この年、人文学者ネブリーハは、近代ヨーロッパ諸言語の文法書の先駆けとして『カスティーリャ語文法』を著し、女王イサベルに献本した。カスティーリャ語は同書の初めに書かれた「言語は帝国の朋友である」という言葉のとおりスペイン帝国に広く浸透していく。これはまたやがておとずれるスペイン文学の「黄金世紀」を予告するものであった。<立石博高編『スペイン・ポルトガル史』世界各国史16 p.145-147>
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