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カルデナス

1934~40年のメキシコ大統領。メキシコ革命最後の改革を実施。

 1911年に始まったメキシコ革命は、1917年にブルジョワ的な憲法を制定して一段落したかに見えたが、その後も安定さを欠いていた。その要因は、依然としてカウディーリョと呼ばれる地域ボスが影響力をもっていたためであった。1920年代に大統領となったカーリェスは、そのような強権政治を続けたため、国民の反発が強まった。国民の強権政治に対する反発を組織し、メキシコ革命の理念と成果の定着を掲げてその支持を受けたのがカルデナスであった。カルデナスは1934年に大統領に選出され、積極的なメキシコ社会の変革を進め、その政治基盤は後の制度的革命党の長期政権(1946年から2000年まで続いた)に継承された。
(引用)カルデナスは大統領に就任すると、いわゆるポピュリズム型政治を強力に推し進めた。カルデナスは、革命目標として掲げられてきた農地改革を大規模に実施し、労働環境の整備・国民教育の向上・女性の地位の改善などのための政策を積極的に進めた。また鉄道と石油の国有化を断行し、中小企業の保護育成を促進し、メキシコ経済の自立化を目指した。そして革命勢力を結集して1929年に結成されていた国民革命党を改組し、労働者・農民・一般・軍人の四つの社会勢力をそれぞれの部会に統合したメキシコ革命党(46年に制度的革命党に改称)を編成し、調和と協調を目指したポピュリズム型の政治体制を確立した。<国本伊代『概説ラテンアメリカ史』改訂新版 2001 新評論 p.218>
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国本伊代
『概説ラテンアメリカ史』
改訂新版 2001 新評論