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ベン=ベラ

1962年、アルジェリア独立を実現させた民族解放戦線(FLN)の指導者。次第に独裁化し、1965年にクーデタで大統領から追われた。

 アルジェリアの民族独立運動の組織、民族解放戦線(FLN)を1948年に結成し、その後も54年にアルジェリア戦争を指導した。
 1962年にフランスのド=ゴール大統領との間の休戦協定(エヴィアン協定)を成立させ、7月にアルジェリア民主人民共和国を建国した。翌年、国民投票によって初代大統領に就任した。独立を実現させたことで絶大な人気を誇ったが、FLN内部では右派のベン=ヘッダと対立してその一派を排除するなど不安定だった。
 アルジェリア独立を実現した民族運動指導者として国際的に評価され、彼自身も非同盟主義をかかげて、第2回アジア=アフリカ会議をアルジェで開催しようとした。しかし、次第に独断専行的になり、国内の現実を無視した国際社会での発言などに対して政府内部の反発が深まった。そのため、ベン=ベラ政権は1965年6月18日、国防相メーメディエン大佐のクーデタによって倒され、アジア=アフリカ会議も無期延期となってしまった。

Episode 一発の銃声だけでクーデタ成功

 1965年6月、国防相ブーメディエン大佐のクーデターが起こった。クーデタは周到に準備され、ベン=ベラが逮捕された大統領官邸で、威嚇の銃声が一発鳴っただけで、一晩の内に終わった。翌朝、アルジェの街のあちこちで警戒についている戦車を見た市民は、はじめ映画のロケでもあるのかと思ったという。<川田順造『マグリブ紀行』1971 中公新書 p.12-13>
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