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ゴ=ディン=ジェム

南ベトナムのアメリカ傀儡政権の大統領。仏教徒を弾圧し、非難強まる。1963年、クーデターで殺害された。

 ゴ=ディン=ジェム Ngo Dinh Diem は南北ベトナムの対立からベトナム戦争に発展した時期のベトナム共和国(南ベトナム)大統領。1955年、アメリカの支援を受けてバオ=ダイ帝を追放し、ベトナム共和国(南ベトナム)を樹立して大統領となった。ジュネーヴ休戦協定の取り決めである南北統一選挙を拒否し、反対派を厳しく弾圧した。南ベトナム政府はゴ大統領の一族登用など腐敗がひどく、国民の支持がなく、また彼はカトリック信者だったので、仏教徒を弾圧し、仏教徒の焼身自殺などの抗議があいついで、安定しなかった。1963年11月に軍部クーデタが起き、アメリカも見放したため、殺害された。ケネディ大統領暗殺の3週間前であった。

仏教徒を弾圧

 ベトナムは民衆の8~9割が仏教徒であるが、カトリックであったゴ大統領は、共産主義者と同じように仏教徒も反政府運動のバックにあると考え、仏教を弾圧した。1963年には7人の僧侶がそれに抗議して焼身自殺に訴えた。それを見たゴ大統領夫人のゴ=ディン=ニューは「バーベキュー」と罵り、今度同じことが起きればガソリンとマッチを喜んで進呈しようと述べて内外の世論を逆なでした。<松岡完『ベトナム戦争』中公新書 2001>

Episode ひんしゅくを買った夫人の「人間バーベキュー」発言

 ゴ=ディン=ジェム政権の下での反対派に対する弾圧はすさまじいものがあり、「60年までに80万人が投獄され、拷問を受けたといわれる。逮捕されたもののうち9万人が殺され、19万人が身体障害者になったという」<小倉貞男『ドキュメント・ヴェトナム戦争』岩波書店 1991>
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