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ヤハウェ

ユダヤ教における唯一絶対の神。キリスト教でも創造主として継承される。厳格な偶像崇拝の禁止の教えから神像は造られていない。

 一神教であるユダヤ教における唯一絶対の創造神をヤハウェという。ヤーヴェ、ヤハベ、エホバなどとも表記する。もとはユダヤの一部族神であったが、ユダヤ教が成立して、民族的な唯一神となった。なお、キリスト教の神も同じくヤハウェであり、またイスラーム教の唯一神アッラー(もともとアッラーとは「神」を意味する普通名詞)も本来は同じ神を意味していた。
 ユダヤ教の思想では、ヘブライ人(ユダヤ人)たちがモーセに率いられて、出エジプトを行い、カナーンの地に戻る途中、シナイ山でヤハウェから十戒を授けられたという。彼らはこれを神との契約と考え、その契約を守ることによって救済されると信じ、ユダヤ教の教義が成立した。その十戒の中に、1.汝は私の他に、何者をも神としてはならない。2.汝は自分のために刻んだ像を造ってはならない。3.汝は、汝の神・主の御名をみだりに唱えてはならない。とあるように、ヤハウェは厳格な一神教の神であり、人間の姿として現すことのできない、つまり偶像を造ってはいけないとされていた。この偶像禁止の教えは、ユダヤ教からキリスト教に引き継がれる、やがてローマ教会では布教の便法としてイエスやマリアの像を造るようになる。しかし、神そのものの姿を像とすることはできなかった。また、イエスやマリア像が認められるかどうかは、後の聖像崇拝問題として大きな問題となる。

ヤハウェ神殿

 前10世紀、ヘブライ王国ソロモン王は、イェルサレムに壮大なヤハウェ神殿を建設したが、後にユダ王国が滅ぼされたときに破壊されてしまった。そのとき、バビロン捕囚となったヘブライ人が、アケメネス朝のキュロス2世によって解放され、ヤハウェ神殿を再建した。しかし、それもローマによって破壊された。現在のイェルサレムには、神殿の丘が遺跡として残されており、その一部が嘆きの壁である。
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