印刷 | 通常画面に戻る |

ウィーン会議

1814~15年、ナポレオン戦争後のヨーロッパの秩序回復を図る国際会議。2015年、ウィーン議定書を成立させた。ここで出来上がった19世紀前半の国際関係の基軸となる国際秩序をウィーン体制という。

 1814年9月から1815年6月まで、オーストリアの首都ウィーンで外相メッテルニヒが議長となって、ナポレオン戦争後のヨーロッパの秩序を回復させるため開催された国際会議。19世紀前半のウィーン体制を成立させることとなった重要な会議であり、パリ条約(1856年、クリミア戦争後の講和会議)、ベルリン会議(1878年、東方問題での国際会議)とならんで19世紀の重要な国際会議のひとつである。

ウィーン会議の主な参加者

 ロシア皇帝アレクサンドル1世、プロイセン王フリードリヒ=ヴィルヘルム3世、イギリス代表カスルレー、ウェリントン、オーストリア皇帝フランツ1世と代表メッテルニヒ、プロイセン王フリードリヒ=ヴィルヘルム3世と代表ハルデンベルク、フランスのタレーランらが出席。議長はメッテルニヒが全会一致で選出された。

ウィーン議定書を調印

 フランス革命とナポレオン戦争後のヨーロッパを、それ以前の状態に戻すこと(フランスのタレーランが唱えた正統主義)理念として会議が始まったが、実際には各国とも領土の拡張と有利な条件の獲得を狙って腹を探り合い、なかなか進捗せず、代表たちは舞踏会などでいたずらに時間を浪費したため『会議は踊る、されど進まず』と揶揄された。しかし1815年2月、ナポレオンエルバ島脱出の報を受けて、列国は合意の形成を急ぐこととなり、1815年6月にウィーン議定書の調印にこぎつけた。この会議によって、19世紀前半の保守反動体制であるウィーン体制が作られた。
その頃日本は ウィーン会議が開催されていた1814~15年の日本は江戸時代、将軍徳川家斉の文化11~12年に当たる。各地に飢饉が広がり、打ちこわしが起こった。滝沢馬琴・『南総里見八犬伝』第1巻刊行。杉田玄白ら『蘭学事始』完成。伊能忠敬が全国測量を続けていた。

Episode 会議は踊る

ウィーン会議
ウィーン会議の諷刺画
左からタレーラン、カスルレー、オーストリア皇帝フランツ1世、ロシア皇帝アレクサンドル1世、プロイセン王、ザクセン王とされる。
 「会議は踊る、されど進まず」という句は、ウィーン会議の議事が進行しないことを皮肉ったことばで、オーストリアの将軍リーニュ公が言ったという。ザクセン帰属問題、ドイツの組織問題、ワルシャワ大公国処理問題でオーストリア・プロイセン・ロシアが対立、イギリスはロシアの進出を警戒し、各国代表は互いに牽制しあって話し合いは進展せず、舞踏会だけがきらびやかに続けられた。しかし、1815年3月、ナポレオンのエルバ島脱出の知らせをうけ、急きょ、結束することになった。
 ドイツ映画『会議は踊る』は1931年の製作で、トーキー初期のオペレッタ(今で言えばミュージカル)映画の傑作、日本でも大当たりした。しかし本国のドイツでは当時台頭したナチスによって退廃的な映画として上映が禁止された。映画はウィーン会議を舞台としており、主人公はロシア皇帝アレクサンドル1世。アレクサンドルはナポレオンを撃退し、後に神聖同盟を提唱するなど謹厳で強面の人物であったようだが、この映画ではお茶目な色男として描かれている。物語はウィーン会議に乗り込んだアレクサンドルが町娘クリステルとつかの間の恋を楽しもうと、会議や舞踏会には替え玉を出席させたり、メッテルニヒはなんとかアレクサンドルを出席させまいとして色仕掛けを試みたり、部屋を盗聴したり、ドタバタ喜劇が展開される。ウィーンの酒場に繰り出したアレクサンドルがクリスタルたちと歌う「酒の歌」は日本でも流行した。舞踏会の最中にナポレオンのエルバ島脱出の知らせがもたらされ、アレクサンドルは帰国、クリスタルの恋ははかなく終わる。監督はエリック=シャレル、主演はアレクサンドルがウィリー=フリッチ、クリスタルがリリアン=ハーヴェイ。

補足 フランスが参加したこと

 メッテルニヒの理念はフランス革命で現れた共和政の否定であり、保守主義そのものであった。フランスのタレーランは正統主義と概念でメッテルニヒの思想を補強することで会議への参加を認められ、フランスの最小限の利益の確保に努めた。
 考えてみれば、大きな世界戦争後の講和会議に敗戦国代表の出席が許されたのは、第一次世界大戦後の;パリ講和会議にドイツが参加できなかったこと、第二次世界大戦のサンフランシスコ講和会議にドイツ、日本が参加できなかったことと比較すれば、メッテルニヒの度量はもっと評価されて良いかもしれない。もっとも、ウィーン体制の時代はメッテルニヒが描いたような保守主義は維持できなかったことは歴史的事実であるが。
印 刷
印刷画面へ
DVD案内

『会議は踊る』
監督 E.シャレル
淀川長治解説