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東南アジアのイスラーム化

東南アジアの主に島嶼部には、、13世紀以降、ムスリム商人によってイスラーム教が伝えられ、神秘主義教団の活動でイスラーム化が強まり、イスラーム教国が生まれた。現在もインドネシア・マレーシアなどイスラーム教徒が多い。った。

 東南アジア島嶼部へのイスラーム教の布教は、ムスリム商人の活動によって、13世紀頃から展開され、インド洋、南シナ海に散在する港市国家などでひろがっていった。現地の人々にうけいれられた背景には、イスラーム神秘主義(スーフィズム)の活動があった。
 現在でも、マレーシア連邦(人口の60%)、インドネシア共和国(87%)、ブルネイ(78%)はイスラーム教が国内最大の信者数を有している。

東南アジアの主なイスラーム国家

マラッカ王国 東南アジアで最も早くイスラーム教を取り入れたのは13世紀のスマトラ島北端にあったサムドラ=パサイの王であるが、より本格的な受容は15世紀初頭のマレー半島にあったマラッカ王国であった。マラッカ王はイスラーム教に改宗して海上貿易で繁栄した。マラッカ王国は16世紀にポルトガルに滅ぼされるが、イスラーム教は東南アジアの諸島部に広がり、各地にイスラームの小国家が生まれた。またスマトラ島の北端にはアチェ王国がスリランカなどとの交易で栄えたイスラーム教国であった。
マタラム王国など ジャワ島では、14世紀にヒンドゥー教国のマジャパヒト王国が栄え、ヒンドゥー文化が成立していたが、15世紀ごろから海岸にムスリム商人が来航して交易が始まるとともに港市が建設され、マジャパヒト王国は内陸に追いやられて行き、16世紀にはジャワ島東部にマタラム王国が成立、西部にはバンテン王国が生まれた。これらのイスラーム教国は、スマトラのアチェ王国とともに、いずれもイスラーム商人との香辛料貿易で栄えた。ジャワ島ではヒンドゥー教や仏教と併存しながら次第にイスラーム化が進んだ。
フィリピン またフィリピン諸島にも10世紀にイスラーム教が伝わり、13世紀ごろまでに南部のミンダナオ島やスルー諸島などを中心に定着して、16世紀以降はキリスト教徒のスペイン入植者と激しいモロ戦争を繰り広げることになる。現在でもフィリピン南部のイスラーム教徒はフィリピンからの分離独立を主張している。
POINT  東南アジアのイスラーム化は、軍事的な征服活動としてではなく、イスラーム商人の経済活動の広がりによるものであった。またイスラーム教が東南アジアで広がった背景には、観念的でなく、感覚的なスーフィズムの信仰が、現地の土俗的な信仰と融合しやすかったことも挙げられる。
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