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サムドラ=パサイ王国

13世紀にスマトラ島に成立したイスラーム教国。東南アジアで最初にイスラーム化したとされている。

 13世紀にスマトラ島の北端アチェ地方にあったイスラーム教国。サムドラ Samudra(サムドゥラとも表記)とは「スマトラ」の地名のもとになった古い地名で、パサイ Pasai はその外港の名前。13世紀末、元の使節に従って海路ペルシアに向かったマルコ=ポーロがこの地に滞在したことが『東方見聞録』に見える。そこではこの地の王がイスラーム教徒であるとは書かれていないが、ムスリムが多かったことが知られる。後のマレー語で書かれた歴史書ではそのころからイスラーム商人と神秘主義教団によってイスラーム化が始まったことがうかがえる。
 この地の伝説『パサイ王の物語』では、この王が東南アジアで最も早くイスラーム教に改宗したとされている。
 1346年にはイブン=バットゥータがインドから中国に向かう途中、サムドラ=パサイに立ち寄り、スルタンに面会している。この国は港市国家として栄えたが、東南アジアのイスラーム教徒が増えるにつれ、そのメッカ巡礼の中継地としても繁栄した。
 この地には15世紀以降、イスラーム教国であるアチェ王国が繁栄することになる。
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