印刷 | 通常画面に戻る |

パレスチナ暫定自治行政府

イスラエル・PLO間の暫定自治協定によって、1994年にパレスチナ(ヨルダン川西岸とガザ地区)で自治政府が成立した。

 1993年のパレスチナ暫定自治協定の成立に伴い、1994年5月からパレスチナ人による暫定的自治がガザ地区ヨルダン川西岸イェリコ(ジェリコ)地区で開始された。その自治政府をパレスチナ暫定自治行政府(英語では Palestinian Interim Self-Government Authority であり、略称をPA)と言い、パレスチナ解放機構(PLO)がその実体を構成している。
 行政府長官はPLO議長を兼ねており、当初はアラファトが務め、04年のその死去の後、05年に選挙によってアッバスが就任した。国会にあたるパレスチナ立法評議会が設けられており、議員も選挙で選ばれるが、06年の選挙ではイスラーム原理主義組織であるハマスが過半数の議席を獲得し、ハマス主導の内閣が発足した。その後、PLO穏健派と急進派のハマスの内部対立が始まり、2007年6月にはガザ地区をハマス武装勢力が掌握し、アッバス大統領(PLO議長)が緊急事態を宣言するなど深刻な事態となっている。 → パレスチナ問題/中東問題(1990年代~現代)

パレスチナ国家の国際承認

 パレスチナ暫定自治行政府を唯一の政府とするパレスチナ国家の支配領域は、ガザ地区とヨルダン川西岸という飛び地となっており、しかもガザ地区はハマスが実効支配し、ヨルダン川西岸の多くはイスラエルの入植者が巨大な障壁を築いて居座っている。国境線内の国民を一元的に支配するという近代主権国家の形態をとるには至っていない、あくまで暫定措置として存在している。その大前提はイスラエルとの「二国家共存」であるが、パレスチナとイスラエルのそれぞれ内部に二国家共存を認めずあくまで相手をこの地から抹殺すると主張する勢力も根強く、いつ「暫定」でなくなるかは見通しは立っていない。しかし、国際社会ではパレスチナ国家を国家と認めて外交関係を結ぶ国家も増えている。
 2014年10月30日、スウェーデン政府がパレスチナ国家を承認したことによって、承認国は130ヵ国以上となった。しかし、アメリカ及びEU主要国は未承認であり、日本もまだ承認していない。
 国際連合においては、1974年にパレスチナ解放機構(PLO)はパレスチナの唯一の正統な代表として認められ、「オブザーバー組織」となっており、さらに2012年には「オブザーバー国家」に格上げされた(投票権は無い)。
印 刷
印刷画面へ