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アッラー

イスラーム教の唯一絶対の神を意味する言葉。西アジアの一神教信仰に共通する。ムハンマドはコーランでアッラーへの絶対の服従を説いた。

 アラビア語でアッラーというのは、「アル=イラーフ」の短縮形で、神そのもを意味する。アッラーはもともとメッカの守護神の一つにすぎなかったが、ムハンマド以前からアラブ人の中でもっとも崇拝された神の一つであった。ムハンマドは、このアッラーを、唯一絶対の創造主であり、全知全能の神であるととらえなおしイスラーム教を創始し、コーラン(クルアーン)を通してその教えを伝えた。

一神教に共通する神

 ユダヤ教で言えばヤハウェ、キリスト教で言えば「父なる神」にあたるのがアッラーであり、世界を創造し、最後の審判の日には人々を裁き、天国や地獄に送る存在として崇拝される。つまり、西アジア世界に生まれた一神教での共通の神である。したがってイスラーム教徒はユダヤ教徒とキリスト教徒の同じ神を信じていると認識していおり、彼らを「啓典の民」と捉えている(ただし、ユダヤ教徒とキリスト教徒は、イスラーム教徒を同じ神を信仰しているとは考えていない)。
注意 「アッラーの神」とは言わない アッラーはアラビア語の一般的な言葉で、唯一の「神」を表す語である。だから「アッラーの神」という表現は「神の神」というおかしな事になる。<東長靖『イスラームのとらえ方』1996 世界史リブレット15 山川出版社 p.11>  

偶像崇拝の禁止

 この神は人知を越えた存在であるから、人間の手で描いたり、像にしたりすることは出来ないし、許されないとされた。それが偶像崇拝の否定であり、イスラーム教の重要なポイントとなっている。また、イスラーム教徒の六信の第一にあげられ、その義務である五行の第一の信仰告白は「アッラーのほかに神はなし」で始まる。
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書籍案内

東長靖
『イスラームのとらえ方』
世界史リブレット15
1996 山川出版社